GHGプロトコル Scope 2 の改定と RE100 の要件
国際的な排出量の数え方のルール。GHGプロトコルの Scope 2(購入電力の排出)の改定で、再エネ調達を「時間と場所の一致」で評価する案が協議にかけられたが支持は低く、算定方式の再検討に入っている。日本企業の証書・PPA の価値に影響する。
この制度が関わる分野:企業の脱炭素化のルール(再エネ調達・証書・算定)
前提この制度の基本的な仕組み(開く)
GHGプロトコル(WRI と WBCSD が運営)は企業の温室効果ガス算定の国際標準で、購入電力の排出(Scope 2)はロケーション基準と市場基準の二通りで算定する。2015年の Scope 2 ガイダンスの改定作業が 2023年から進み、2025年7月14日に独立標準委員会(ISB)が市場基準・ロケーション基準の改定案の公開協議を承認、協議は 2025年10月20日〜2026年1月31日に行われた。改定案は、市場基準で再エネ調達を主張する場合に「時間(時間帯)と地理(送電可能な範囲)の一致」を求めるもので、小規模事業者の免除、長期契約の経過措置、段階的導入が併せて示された。2026年7月29日公表の協議結果では、この要件案への支持は企業・業界団体を中心に低く、ISB は複数の市場基準の報告方式を技術作業部会で再検討するよう指示した。確定時期は当初「改定本文 2026年半ば・改定版公表 2027年末」とされていたが見直し中。RE100 の技術要件もこの改定に合わせて見直される。本テーマの一次資料は ghgprotocol.org の公表文書と RE100 の技術基準。
いま決めようとしていること(論点 3)
段階:決定取りまとめ審議中検討予定公表/ 各論点は「要するに」→「現状」→「経緯」の順に詳しくなります
▶Scope 2改定で小規模事業者の免除や既存契約の扱いはどうなるか審議中
要するに大半の組織を毎時一致から免除する措置と既存の長期契約を認める措置は幅広く支持された。ただし免除の基準値や対象となる契約の範囲はまだ決まっていない。
問いGHGプロトコルのScope 2改定で、毎時一致などの新要件について、小規模組織の免除基準、既存の長期契約(PPA等)を認めるレガシー条項、段階的導入をどう設けるか
現状(2026-07-29 時点)
2025年10月20日に始まった公開協議の改定案は、実現可能性の措置として、年間消費量[X]GWh以下などの組織を毎時一致から免除する基準(4つの選択肢と中小企業区分を検討)、既存のScope 2ルールで行われた投資を認めるレガシー条項、負荷プロファイルによる推計毎時データの利用、改定版公表(2027年末見込み)後の複数年の段階的導入を示した。2026年7月29日に公表された協議結果では、大半の組織を毎時一致から免除する措置と、既存の長期契約を引き続き認めるレガシー条項が幅広く支持された一方、措置が十分かどうかは意見が分かれた。免除の閾値やレガシー条項の対象期間はまだ決まっていない。次の節目技術作業部会での免除基準の閾値、レガシー条項の対象、段階的導入の日程の具体化。
経緯(会議ごとの記録・3 件)と分類
- 2026-07-29GHG Protocol Scope 2 公開協議の意見の要約 審議中大半の組織を免除する措置とレガシー条項は幅広く支持され、措置の十分さは意見が分かれた。出典:GHGプロトコル:Scope 2 公開協議の結果を公表、毎時一致・送電可能性への支持は低く、ISBは複数の算定方式の検討を指示 →
- 2025-10-20GHG Protocol Scope 2 公開協議 公表免除基準(年間消費量[X]GWh以下などの選択肢)、レガシー条項、段階的導入の案を示した。出典:GHGプロトコル:Scope 2 改定案の公開協議を開始(2025年10月20日〜2026年1月31日) →
- 2025-07-14GHG Protocol ISB(Scope 2 改定案の公開協議の承認) 審議中小規模組織の免除、長期契約のレガシー条項、推計毎時データの利用、段階的導入を実現可能性の措置として含む改定案を承認した。出典:GHGプロトコル ISB:Scope 2 改定案(毎時・地理的一致)を公開協議にかけることを承認 →
「現状」は経緯全体から書き直す上書き型、経緯は追記型。一次資料のみを根拠とし、二次情報は経緯に入れません。
▶Scope 2で再エネ調達に時間と場所の一致を求めるか審議中
要するに時間と場所の一致を求める案は公開協議で企業の支持が低く、国際標準の策定機関は複数の算定方式を検討し直すよう指示した。要件はまだ確定していない。
問いGHGプロトコルのScope 2改定で、マーケット基準により再エネ調達を排出削減として主張する場合に、契約証書と電力消費の毎時の一致(時間)と送電可能な範囲での一致(地理)をどこまで求めるか
現状(2026-07-29 時点)
GHGプロトコルの独立標準委員会(ISB)は2025年7月14日、マーケット基準で契約証書と消費の毎時の一致(品質基準4)と同じ市場範囲・送電可能性(品質基準5)を求める改定案を公開協議にかけることを承認し、協議は2025年10月20日〜2026年1月31日に行われた。2026年7月29日に公表された協議結果では、約1,100件の回答のうち毎時一致と送電可能性の要件案は特に企業・業界団体からの支持が低かった。ISBは7月に、異なる変化の理論を反映した複数のマーケット基準の報告方式をさらに検討するよう方向づけ、技術作業部会に検討の深掘りを指示した。次の節目技術作業部会での複数のマーケット基準の報告方式の検討と、追加の公開協議の有無の判断。
経緯(会議ごとの記録・3 件)と分類
- 2026-07-29GHG Protocol Scope 2 公開協議の意見の要約 審議中毎時一致と送電可能性の要件案は支持が低く、ISBは複数のマーケット基準の報告方式の検討を指示した。出典:GHGプロトコル:Scope 2 公開協議の結果を公表、毎時一致・送電可能性への支持は低く、ISBは複数の算定方式の検討を指示 →
- 2025-10-20GHG Protocol Scope 2 公開協議(2025年10月20日〜2026年1月31日) 公表契約証書の毎時の発行・償却(品質基準4)と同じ市場範囲からの調達(品質基準5)を求める改定案を公開協議にかけた。出典:GHGプロトコル:Scope 2 改定案の公開協議を開始(2025年10月20日〜2026年1月31日) →
- 2025-07-14GHG Protocol ISB(Scope 2 改定案の公開協議の承認) 審議中毎時一致と地理的一致を求めるマーケット基準の改定案を、賛成10・反対1で公開協議にかけることを承認した。出典:GHGプロトコル ISB:Scope 2 改定案(毎時・地理的一致)を公開協議にかけることを承認 →
「現状」は経緯全体から書き直す上書き型、経緯は追記型。一次資料のみを根拠とし、二次情報は経緯に入れません。
▶Scope 2の改定版はいつ確定し、いつから適用されるか審議中
要するに当初は2026年半ばに主要要件を確定、2027年末に公表の予定だった。協議結果を受けて方式を検討し直すことになり、新しい日程はまだ示されていない。
問いGHGプロトコルのScope 2改定版は、どの手順を経ていつ確定・公表され、企業の排出量報告にいつから適用されるか
現状(2026-07-29 時点)
2025年7月のISBの承認時点では、主要要件の確定文を2026年半ば、第2次協議を経た改定版全体(コーポレート基準一式を含む)の公表を2027年末と見込み、公開協議の文書では公表後に複数年で段階的に適用し早期適用も認める案が示された。2026年7月29日の協議結果の公表では、ISBが7月に複数のマーケット基準の報告方式の検討を指示し、今後の手順と追加の公開協議は標準策定手続きに沿って行うとしたが、新たな確定時期は示されていない。次の節目ISBと技術作業部会による改定方針の具体化と、追加の公開協議・確定時期の公表。
経緯(会議ごとの記録・3 件)と分類
- 2026-07-29GHG Protocol Scope 2 公開協議の意見の要約 審議中ISBが複数の報告方式の検討を指示し、今後の手順と追加協議は標準策定手続きに沿うとした。新たな確定時期は示されていない。出典:GHGプロトコル:Scope 2 公開協議の結果を公表、毎時一致・送電可能性への支持は低く、ISBは複数の算定方式の検討を指示 →
- 2025-10-20GHG Protocol Scope 2 公開協議 公表改定版の公表(2027年末見込み)後、複数年で段階的に適用する案と、適用開始の報告年度に関する質問を示した。出典:GHGプロトコル:Scope 2 改定案の公開協議を開始(2025年10月20日〜2026年1月31日) →
- 2025-07-14GHG Protocol ISB(Scope 2 改定案の公開協議の承認) 審議中主要要件の確定文を2026年半ば、改定版全体の公表を2027年末と見込んだ。出典:GHGプロトコル ISB:Scope 2 改定案(毎時・地理的一致)を公開協議にかけることを承認 →
「現状」は経緯全体から書き直す上書き型、経緯は追記型。一次資料のみを根拠とし、二次情報は経緯に入れません。