非化石証書とトラッキング(高度化法・再エネ価値取引市場)

企業が「再エネ電気を使った」と言うために必要な証書の制度。証書の種類・価格の上下限・トラッキング(発電所情報の付与)と、小売電気事業者に課される非化石電源比率の義務がどう見直されるか。

前提この制度の基本的な仕組み(開く)
エネルギー供給構造高度化法は、一定規模以上の小売電気事業者に販売電力量の非化石電源比率を 2030年度に 44%以上とする目標を課し、その達成手段として非化石価値取引市場(2018年5月創設)で非化石証書を売買させる。2021年11月からは FIT 電源の証書を扱う「再エネ価値取引市場」が分かれ、需要家も仲介事業者を通じて直接購入できるようになった。証書は FIT 非化石証書・非FIT 非化石証書(再エネ指定あり/なし)に分かれ、それぞれ最低価格と上限価格が設定される。約定価格が最低価格に張り付く状態が続いたため、2025年9月の再エネ大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会で最低価格の引き上げが検討課題とされ、2026年1月・3月の制度検討作業部会で価格水準と需給の調整が議論されている。制度設計は資源エネルギー庁の制度検討作業部会、取引は日本卸電力取引所(JEPX)。

いま決めようとしていること(論点 3)

段階:決定取りまとめ審議中検討予定公表/ 各論点は「要するに」→「現状」→「経緯」の順に詳しくなります
▶非化石証書の市場を再エネの新規投資につなげる形にどう見直すか検討予定
要するに証書の価値を投資効果で差をつけることや、需要家が買える市場の範囲などが中長期の課題として整理された段階。具体的な制度案はまだない。

問い非化石証書制度(FIT証書・非FIT証書の市場)を、FIT制度から自立した再エネへの新規投資・再投資につながるよう、証書価値の差別化、FIT証書の取扱い、需要家の参加範囲の面でどう見直すか

現状(2025-12-12 時点)
2025年9月30日の再エネ大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会で、2030年以降を見据えた中長期の検討課題として、投資促進効果に応じた証書価値の差別化、国民負担で買い取られた環境価値の再販であるFIT証書の取扱い、需要家が参加できない非FIT証書(再エネ指定)の市場取引への需要家ニーズの反映、GX-ETS・RE100・時間的価値・場所的価値の動向を踏まえた議論が整理され、早期に検討を始めるべきとされた。2025年12月12日の制度検討作業部会では、FIT証書市場は需要家アクセスの向上のために創設されたことを踏まえ、高度化法義務の履行をFIT証書で代替する手段より確実性の高い代替手段の検討が望ましいとされた。具体的な制度案はまだ示されていない。
次の節目制度検討作業部会等での中長期の市場・制度のあり方の検討開始と、FIT証書による義務履行の代替手段の見直し。
経緯(会議ごとの記録・2 件)と分類
分類:テーマ 非化石証書とトラッキング(高度化法・再エネ価値取引市場) / 電源・設備 オフサイトPPA / 市場・制度 非化石証書・算定ルール / 論点種別 市場設計

「現状」は経緯全体から書き直す上書き型、経緯は追記型。一次資料のみを根拠とし、二次情報は経緯に入れません。

▶非化石証書の下限・上限価格はどう見直されるか審議中
要するにFIT証書の下限を2027年度に0.6円へ上げ上限は撤廃、非FIT証書の下限は2028年度に0.8円へ上げる案。2026年度は据え置きで、上げ方の日程は今後詰める。

問い非化石証書の取引市場(FIT証書の再エネ価値取引市場と、非FIT証書の高度化法義務達成市場)の下限価格と上限価格は、需要家のPPA締結や非化石電源の維持・拡大への影響を踏まえて、どの水準にいつ見直されるか

現状(2026-03-04 時点)
現行はFIT証書が下限0.4円/kWh・上限4.0円/kWh、非FIT証書が下限0.6円/kWh・上限1.3円/kWh。2026年3月4日の制度検討作業部会で事務局は、2026年度は現行水準を据え置き、FIT証書の下限は2027年度に0.6円/kWh(非FIT証書と同水準)へ引き上げて以後も非FITに合わせ、FIT証書の上限は代替手段のあり方を検討したうえで第3フェーズ(2026〜2028年度)中に撤廃し、非FIT証書の下限は物価動向を踏まえ2028年度に0.8円/kWhとし、非FIT証書の上限は第3フェーズ中維持する案を示した。0.8円/kWhは排出量取引制度の2026年度下限価格を電力量に換算した約0.72円/kWhとのバランスも一定程度確保できるとし、2028年度に向けた見直しスケジュールは経過措置料金の議論を見つつ今後詳細を検討するとした。
次の節目下限価格の引上げスケジュールの詳細(経過措置料金の議論を踏まえる)と、FIT証書の上限撤廃に向けた代替手段のあり方の検討。
経緯(会議ごとの記録・4 件)と分類
分類:テーマ 非化石証書とトラッキング(高度化法・再エネ価値取引市場) / 電源・設備 オフサイトPPA / 市場・制度 非化石証書・算定ルール / 論点種別 価格上限

「現状」は経緯全体から書き直す上書き型、経緯は追記型。一次資料のみを根拠とし、二次情報は経緯に入れません。

▶高度化法の非化石証書の調達義務量はどう決まるか取りまとめ
要するに義務対象は年5億kWh以上の小売電気事業者のまま。2026年度の外部調達比率は約14.8%とする案で、2027年度以降は需給に余裕を持たせる方向。

問いエネルギー供給構造高度化法で小売電気事業者に課す非化石電源比率の中間目標(非化石証書の外部調達比率)は、どの事業者を対象に、証書の需給見通しをどう見積もって毎年度設定されるか

現状(2026-04-03 時点)
第3フェーズ(2026〜2028年度)も、2040年度の非化石電源比率目標(60%以上に見直す方針)に向けて、中間目標値は証書供給量の見通しを踏まえて設定する現行方法を維持し、外部供出可能量の想定を精緻化する(2025年12月12日の制度検討作業部会の事務局案)。義務対象は前事業年度の供給量5億kWh以上の事業者を維持する案。2026年度は需給バランス1.05とし、確報値では需給バランスを固定する方針のもと、2026年4月3日の作業部会で外部供出可能量を約1,270億kWh、外部調達比率を約14.8%とする案が示された。2027年度以降は、上下限価格の見直しの影響を緩和するため需給バランスを例えば1.10に見直すことが考えられるとされた。
次の節目2027年度以降の需給バランスの設定(上下限価格の見直しとあわせて検討)と、2040年度目標に向けた第3フェーズの運用。
経緯(会議ごとの記録・4 件)と分類
分類:テーマ 非化石証書とトラッキング(高度化法・再エネ価値取引市場) / 電源・設備 再エネ全般 / 市場・制度 非化石証書・算定ルール / 論点種別 調達量・募集量

「現状」は経緯全体から書き直す上書き型、経緯は追記型。一次資料のみを根拠とし、二次情報は経緯に入れません。

このテーマに関わる政策・制度レコード(5)

第113回 制度検討作業部会:2026年度の中間目標の外部調達比率を約14.8%とする案 第112回 制度検討作業部会:FIT証書の下限を2027年度に0.6円へ、非FIT証書の下限を2028年度に0.8円へ引き上げる案 第110回 制度検討作業部会:中間目標は需給バランスを固定する案、非化石証書の下限価格の段階的見直しを検討 第109回 制度検討作業部会:高度化法第3フェーズの中間目標の設定方法、2026年度の需給バランス1.05案 第76回 再エネ大量導入・次世代NW小委:非化石証書の下限価格引上げ・上限価格の再検討を課題として整理

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