省エネ法の非化石転換と温対法の電力排出係数(算定・報告・公表制度)
企業の省エネ・脱炭素の「報告」のルール。省エネ法で求められる非化石エネルギーへの転換目標と、温対法の算定・報告・公表制度で使う電気の排出係数(小売事業者別・メニュー別、証書での調整)がどう変わるか。
この制度が関わる分野:企業の脱炭素化のルール(再エネ調達・証書・算定)
前提この制度の基本的な仕組み(開く)
2023年4月施行の改正省エネ法は、エネルギー使用量の大きい特定事業者に、省エネに加えて非化石エネルギーへの転換の目標(中長期計画・定期報告)と、電気需要の最適化を求める。2026年10月2日には施行令の一部改正が閣議決定された。温対法の算定・報告・公表制度(SHK制度)では、事業者は電気の使用に伴う排出量を、経産省・環境省が毎年公表する小売電気事業者別の基礎排出係数・調整後排出係数(非化石証書等で調整したもの)で算定し、小売事業者が届け出た電力メニュー別の係数も使える。証書・PPA の扱いがここで決まるため、企業の脱炭素実績の数え方に直結する。所管は資源エネルギー庁(省エネ法、排出係数の算出)と環境省(SHK制度)。
いま決めようとしていること(論点 2)
段階:決定取りまとめ審議中検討予定公表/ 各論点は「要するに」→「現状」→「経緯」の順に詳しくなります
▶SHK制度の電気の排出係数に証書の環境価値をどう反映するか決定
要するに企業は電気の排出量を、証書の環境価値を反映した基礎排出係数と調整後排出係数で算定する。電気事業者ごとの係数とメニュー別の係数を国が毎年公表している。
問い温対法の算定・報告・公表制度(SHK制度)で企業が電気の使用に伴う排出量を算定する電気事業者別の排出係数は、非化石証書などの環境価値の取引や電力メニューをどう反映して算出・公表されるか
現状(2026-07-23 時点)
従来の基礎排出係数は非化石電源由来の電気を排出ゼロとして扱い、環境価値を持たない電気を買った需要家も基礎排出量をゼロと算定できる齟齬があったため、2024年3月29日の排出係数検討会で、非化石証書・グリーン電力証書・再エネ電力由来J-クレジットの取引を反映した「基礎排出係数(非化石電源調整済)」を新設し、メニュー別係数も設ける方向が示された(調整後排出係数は変更なし)。この係数は運用されており、令和6年度の電気事業者別の基礎排出係数(非化石電源調整済み)・調整後排出係数は2026年1月9日に公表、7月23日にメニュー別係数等が一部追加・更新され、特定排出者は令和7年度の排出量の算定・報告にこれを用いる。次の節目次年度分の電気事業者別排出係数の算定・公表。
経緯(会議ごとの記録・2 件)と分類
- 2026-07-23環境省 報道発表(令和6年度の電気事業者別排出係数の一部追加・更新) 決定2026年1月9日公表の令和6年度係数について、新規参入事業者の係数とメニュー別排出係数を追加・更新した。出典:令和6年度の電気事業者別 基礎排出係数(非化石電源調整済)・調整後排出係数等を一部追加・更新 →
- 2024-03-29第18回 温対法に基づく事業者別排出係数の算出方法等に係る検討会(書面開催、資料3) 取りまとめ非化石証書等を反映した新しい基礎排出係数(呼称案:基礎排出係数(非化石電源調整済))の新設と、2024年度中の算定・公表の予定を示した。出典:第18回 排出係数検討会:非化石証書等を反映した「基礎排出係数(非化石電源調整済)」の新設と呼称を審議 →
「現状」は経緯全体から書き直す上書き型、経緯は追記型。一次資料のみを根拠とし、二次情報は経緯に入れません。
▶省エネ法の荷主制度の非化石転換目標と評価はどう決まるか審議中
要するに特定荷主に非化石トラックの導入目安(2030年度に5%)と報告を求めている。報告の開示と優良事業者の公表制度を加える案が示され、2030年度以降の目標は12月に検討予定。
問い省エネ・非化石転換法の荷主制度(貨物輸送量が年3,000万トンキロ以上の特定荷主に、省エネ・非化石転換の中長期計画と定期報告を求める枠組み)で、非化石転換の目標と、取組の評価・開示の仕組みはどう定められるか
現状(2026-10-02 時点)
現行の荷主制度は、特定荷主(2026年度時点で794社)にエネルギー消費原単位の年平均1%以上の低減と、自家用・専属便で使う車両総重量8t以下の貨物自動車のうち非化石エネルギー自動車を2030年度に5%とする目安を求め、非化石車両の目標・導入台数の報告を2023年度から始めている(2024年度報告では、目標を5%以上とした特定荷主が約5割、0%が約3割)。第12回荷主判断基準WG(2026年10月2日)で事務局は、工場等の規制で導入済みの定期報告書情報の開示制度(任意)と事業者クラス分け評価制度(全特定荷主を対象に、5年度間平均の原単位を年1%以上低減、または同一業種で低減率上位20%以内の事業者をS評価として公表)を荷主制度に導入する案を示した。2030年度以降を見据えた非化石転換目標の整理は、次回WGで検討する予定。次の節目第13回荷主判断基準WG(2026年12月予定)での開示制度・クラス分け評価制度の詳細設計と、2030年度以降の非化石転換目標の検討。
経緯(会議ごとの記録・1 件)と分類
- 2026-10-02第12回 荷主判断基準WG(事務局資料 荷主制度に係る省エネ・非化石転換の現状及び今後の制度のあり方について) 審議中工場等の規制にある定期報告書情報の開示制度とクラス分け評価制度を荷主制度に導入する案を示し、2030年度以降の非化石転換目標を次回に検討するスケジュールを示した。出典:第12回 荷主判断基準WG:荷主制度に係る省エネ・非化石転換の現状と今後の制度のあり方を審議 →
「現状」は経緯全体から書き直す上書き型、経緯は追記型。一次資料のみを根拠とし、二次情報は経緯に入れません。