排出量取引制度(GX-ETS)とカーボンプライシング

2026年度から本格稼働する排出量取引制度の制度設計と、2028年度から始まる化石燃料賦課金。対象事業者・排出枠の割当・価格の上下限・発電事業者への有償割当がどう決まるか。

前提この制度の基本的な仕組み(開く)
GX推進法(2023年成立、2025年改正で排出量取引制度を法定化)に基づき、2026年度から直近3年度平均で年間10万トン以上の CO2 を直接排出する事業者(300〜400社程度、国内排出量の約6割)に排出枠の割当と提出が義務づけられる。排出枠は業種ごとのベンチマーク方式を基本に無償で割り当て、価格には上限・下限を設ける。2028年度から化石燃料の輸入事業者等に化石燃料賦課金、2033年度から発電事業者に有償オークション(特定事業者負担金)が始まる。制度設計は産業構造審議会の排出量取引制度小委員会、上位方針は内閣官房の GX実行会議とカーボンプライシング専門WG、運営は GX推進機構。

いま決めようとしていること(論点 5)

段階:決定取りまとめ審議中検討予定公表/ 各論点は「要するに」→「現状」→「経緯」の順に詳しくなります
▶排出量取引制度の無償割当はどの基準で決まるか決定
要するにベンチマークは2030年度に上位32.5%水準まで段階的に厳しくし、過去実績型の割当は毎年1.7%(工程由来は0.3%)減らす。2031年度以降の割当方法は点検のうえ見直す。

問い排出量取引制度(GX-ETS)で対象事業者に無償で割り当てる排出枠の量は、ベンチマーク(業種ごとの排出原単位)とグランドファザリング(過去の排出実績)をどう使い分け、毎年度どの水準まで引き下げる前提で算定されるか

現状(2025-12-19 時点)
2025年12月19日の排出量取引制度小委員会の意見(中間整理)で、割当量はベンチマーク対象業種では基準活動量(2023〜2025年度の平均)×各年度の目指すべき排出原単位、それ以外はグランドファザリングで基準排出量(同平均)×(1−削減率×経過年数)として算定すると整理された。ベンチマーク水準は基準年度の上位50%から2030年度に上位32.5%まで線形に引き下げ、グランドファザリングの削減率はエネルギー起源CO2が年率1.7%、プロセス由来CO2が年率0.3%。過去の削減努力の勘案と、上位・中位の乖離が大きい業種への配慮措置は2031年度以降は適用せず、制度開始後の点検を踏まえて2031年度以降の割当方法を見直すとした。
次の節目制度開始後の点検(排出削減・移行計画・排出枠の需給)を踏まえた2031年度以降の割当方法の見直し。
経緯(会議ごとの記録・4 件)と分類
分類:テーマ 排出量取引制度(GX-ETS)とカーボンプライシング / 電源・設備 火力 / 市場・制度 排出量取引・カーボンプライシング / 論点種別 調達量・募集量

「現状」は経緯全体から書き直す上書き型、経緯は追記型。一次資料のみを根拠とし、二次情報は経緯に入れません。

▶化石燃料賦課金の金額はどう算定されるか検討予定
要するに2028年度に始まる化石燃料賦課金の算定方法は、2026年末頃を目途に国の小委員会で取りまとめる予定。金額の水準はまだ示されていない。

問い2028年度に始まる化石燃料賦課金(成長志向型カーボンプライシングの一つ)の賦課金額は、どのような算定方法と手順で決められるか

現状(2026-09-25 時点)
化石燃料賦課金は2028年度から導入される(排出量取引制度小委員会の中間整理で参照した成長志向型カーボンプライシング構想)。2026年9月25日の排出量取引制度小委員会で、事務局は今年度の審議事項として、2028年度の制度開始に向けて賦課金額の算定方法の詳細を示し、年末頃を目途に取りまとめたうえで関連する省令・告示等を策定・改正するとした。賦課金の具体的な水準はまだ示されていない。
次の節目排出量取引制度小委員会での賦課金額の算定方法の審議と、年末頃を目途とした取りまとめ・省令等の策定。
経緯(会議ごとの記録・1 件)と分類
分類:テーマ 排出量取引制度(GX-ETS)とカーボンプライシング / 電源・設備 / 市場・制度 排出量取引・カーボンプライシング / 論点種別 スケジュール

「現状」は経緯全体から書き直す上書き型、経緯は追記型。一次資料のみを根拠とし、二次情報は経緯に入れません。

▶排出枠取引市場は誰が運営し、誰が参加できるか審議中
要するに市場はGX推進機構が運営し、2027年度秋頃に開設予定。参加は制度対象者と、委託売買の親会社等、実績要件を満たす取引業者に限る案。

問い排出量取引制度の排出枠取引市場(2027年度秋頃開設予定)は、GX推進機構がどのような体制で運営し、制度対象者以外の親会社や取引業者の参加をどの範囲・要件で認めるか

現状(2026-08-26 時点)
排出枠取引市場はGX推進法に基づきGX推進機構が設置・運営し、2027年度秋頃に開設予定(2025年12月19日の小委員会意見)。2026年8月26日の小委員会で事務局は、GX推進機構が主体的な役割を担いつつ業務の一部を専門性のある事業者に委託する案、制度対象者でない親会社等には子会社・関連会社である制度対象者からの委託売買のみ認め、兄弟会社の市場参加は認めない案、マーケットメイカー等の取引業者にはカーボン・クレジット市場で前年度に売り買い双方の気配提示を年間営業日数の50%以上行った実績等を求める案を示した。開設後の取引状況を踏まえ市場参加者の範囲を段階的に見直すとした。
次の節目市場設計(開設頻度・制限値幅・監視方法・運営委託先の要件等)の年末頃を目途とした取りまとめ。
経緯(会議ごとの記録・3 件)と分類
分類:テーマ 排出量取引制度(GX-ETS)とカーボンプライシング / 電源・設備 / 市場・制度 排出量取引・カーボンプライシング / 論点種別 市場設計参入要件

「現状」は経緯全体から書き直す上書き型、経緯は追記型。一次資料のみを根拠とし、二次情報は経緯に入れません。

▶排出枠の上限・下限価格はいくらで、いつ発動するか審議中
要するに2026年度は上限4,300円・下限1,700円(1トン当たり)で、毎年度実質3%程度引き上げる。発動条件は月平均価格が3か月連続で上下限を超える場合とする案で、年末頃に取りまとめる。

問い排出量取引制度で設ける排出枠の上限価格と下限価格は、どの水準に設定されて毎年度どう引き上げられ、どの条件で上限措置(負担金による義務履行)や下限措置(リバースオークション)が発動されるか

現状(2026-09-25 時点)
2026年度の参考上限取引価格は4,300円/トン、調整基準取引価格は1,700円/トンで(2025年12月19日の小委員会意見)、2027〜2030年度は前年度の価格に物価変動の見通し+1.03を乗じた価格を基礎に毎年度定める(実質3%上昇のみの参考値で2030年度は上限4,840円・下限1,913円)。2026年9月25日の小委員会で事務局は、上限措置は排出枠取引市場の月平均取引価格が3か月連続で上限を上回る場合、または12月以降に上限以下の売り注文が出ない等の状態が1か月以上続く場合に原則発動し、下限措置は月平均価格が3か月連続で下限を下回る場合にGX推進機構がシングルプライス方式のリバースオークションで買い入れる案を示した(いずれも月の市場開設日の7割以上で取引が成立した場合に限り平均価格を算定)。2033年度以降は政府オークションの入札価格に下限を設けて価格を維持する。
次の節目発動要件の取りまとめ(年末頃目途)と関連する省令・告示の策定、2027年度の上下限価格の告示。
経緯(会議ごとの記録・3 件)と分類
分類:テーマ 排出量取引制度(GX-ETS)とカーボンプライシング / 電源・設備 / 市場・制度 排出量取引・カーボンプライシング / 論点種別 価格上限市場設計

「現状」は経緯全体から書き直す上書き型、経緯は追記型。一次資料のみを根拠とし、二次情報は経緯に入れません。

▶排出量取引制度の対象事業者の範囲はどう決まるか決定
要するに直接排出10万トン以上(3年平均)の事業者が対象で、300〜400社程度。子会社・関連会社に加え兄弟会社とも一体で義務を履行できる。

問い排出量取引制度で排出枠の保有義務を負う事業者は、どの排出規模を裾切りとし、子会社・関連会社など密接関係者とのグループ単位での義務履行をどの範囲で認めるか

現状(2026-08-26 時点)
CO2の直接排出量が前年度までの3か年度平均で10万トン以上の事業者が対象で、対象は300〜400社程度、カバー率は温室効果ガス排出量の6割近くの見込み(2025年12月19日の小委員会意見)。省エネ法・温対法との整合とGXリーグの取組から事業者単位の制度とし、諸外国(EU・英国は設備単位で2.5万トン以上)と同程度の規模の排出源を捕捉する水準とした。親会社等が密接な関係にある子会社と一体で義務を履行することも可能で、2026年8月26日の小委員会では共同届出の密接関係者を会社法上の子会社・関連会社に加え兄弟会社も認める方針が示された。
次の節目制度開始後の運用状況を踏まえた見直し(中間整理の発展の方向性)。
経緯(会議ごとの記録・2 件)と分類
分類:テーマ 排出量取引制度(GX-ETS)とカーボンプライシング / 電源・設備 火力 / 市場・制度 排出量取引・カーボンプライシング / 論点種別 参入要件

「現状」は経緯全体から書き直す上書き型、経緯は追記型。一次資料のみを根拠とし、二次情報は経緯に入れません。

このテーマに関わる政策・制度レコード(7)

第9回 排出量取引制度小委:上限価格措置は月平均価格が3か月連続で上回れば原則発動、下限はリバースオークションの案 第8回 排出量取引制度小委:排出枠取引市場の運営はGX推進機構が担い一部を委託、親会社等は委託売買のみ参加の案 第7回 排出量取引制度小委:2026年度の上限価格4,300円・下限価格1,700円と年3%の実質引上げ案 排出量取引制度小委 意見:割当ての実施指針(中間整理)と2026年度の上限4,300円・下限1,700円を取りまとめ 第6回 排出量取引制度小委:中間整理(案)と業種別のベンチマーク指標(案)を提示 第4回 排出量取引制度小委:ベンチマーク水準を2030年度に上位32.5%とする案、プロセス由来CO2のGF削減率は年0.3%案 第2回 排出量取引制度小委:ベンチマーク・グランドファザリングによる割当量の計算方法を提示

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