自己託送の制度設計(要件の見直し)

自社の発電所の電気を、送配電網を使って離れた自社の拠点に送る「自己託送」。小売を介さず再エネを調達できるため需要家の関心が高いが、2021年に組合型が認められた後、賃貸型・一括受電型など趣旨に反する案件が増え、2024年の指針改正で設備の所有と需要の範囲が絞られた。要件の運用と見直しが続いている。

前提この制度の基本的な仕組み(開く)
自己託送は、電気事業法上、発電設備を持つ者が、その電気を一般送配電事業者の送配電網を使って、自らまたは「密接な関係」を持つ者の需要場所に送る仕組み(電気事業法第2条第1項第5号ロ)。2013年の電気事業法改正で制度化され、小売電気事業者を介さないため、電気の再エネ価値をそのまま自社で使える一方、需要と供給を30分ごとに一致させる計画値同時同量の義務を自ら(または委託先が)負う。「密接な関係」の範囲は資源エネルギー庁の「自己託送に係る指針」で定められ、当初は資本関係やグループ会社などに限られていたが、2021年に、再エネ発電設備の設置を目的とする組合を通じた関係(いわゆる組合型自己託送)が追加された。その後、発電事業者が設備を所有したまま需要家に貸す「賃貸型」、ビル全体で一括受電した電気を配る「一括受電型」など、制度の趣旨(自家消費の延長)に反すると整理された案件が増えたため、2023年12月26日の電力・ガス基本政策小委員会(第68回)で見直しが示され、新規の組合型の受付が一時止まった。2024年2月12日の指針改正で、自己託送を使えるのは設備を自ら設置した者に限る(他者が設置した設備の譲渡・貸与を受けたものは不可。完全子会社からの譲渡のみ例外)、需要場所の中で密接な関係のない他者に電気を融通する場合や、他者が設置した受変電設備の譲渡・貸与を受けて一括受電する場合は対象外、密接な関係を証する書類と宣誓書を提出する、といった要件が定められ、2023年12月31日までに接続検討を申し込んだ案件には経過措置が置かれた。なお、組合型の設備が「組合員の需要に応ずる専用の設備として新たに設置するもの」に限られ FIT 認定発電設備が除かれることは、2021年の組合型の制度化(電気事業法施行規則第2条第3号)以来の要件である。手続きは、出力1万kW以上または供給区域をまたぐ案件は経済産業省本省(電力産業・市場室)、それ未満は地方の経済産業局が確認する。本テーマは、この要件の運用と見直し(密接な関係の範囲、新設・既存設備の扱い、部分供給・分割供給との関係、再エネの環境価値の扱い)を追う。一次資料は資源エネルギー庁の自己託送のページ(指針・Q&A)と、電力・ガス基本政策小委員会の資料。

主な政策・制度の論点(4)

段階:決定取りまとめ審議中検討予定公表/ 各論点は「要するに」→「現状」→「経緯」の順に詳しくなります
▶自己託送と小売供給の組み合わせはどう扱われるか取りまとめ
要するに自己託送の不足分を小売で補う形は分割供給には当たらず、自己託送を使う需要場所ではさらに分割供給を組み合わせることは当面できない。

問い自己託送で送る電気だけでは足りない需要を小売電気事業者からの供給で補う場合、その組み合わせは、部分供給の見直しと分割供給(1需要場所で2者の小売電気事業者が供給する仕組み)の導入の中でどう位置づけられているか

現状(2024-07-09 時点)
部分供給(卸電力市場が機能するまでの当面の対策)は、2024年3月29日の電力・ガス基本政策小委員会で原則廃止の方針とされ、通告型は新規受付を停止する案が示された。代わりに、一の需要場所で1引込み・1計量により2者の小売電気事業者が供給する「分割供給」の導入が決まり(2024年6月17日案、7月9日に第76回の議論を踏まえ導入と整理)、部分供給は分割供給の導入と同時に新規受付を停止し、既存契約は2025年7月1日までに分割供給へ移行する案とされた。この中で、自己託送を活用して残余需要分を小売供給で賄うケースの小売供給は分割供給に当たらず、こうしたケースや自家発補給契約で分割供給を行うことは、既に実態的に2者による供給となることから現時点では認められないと整理された。
次の節目3者以上による分割供給のニーズが高まった場合の制度設計の検討と、分割供給のQ&Aの整備。
経緯(会議ごとの記録・4 件)と分類
分類:テーマ 自己託送の制度設計(要件の見直し) / 電源・設備 オフサイトPPA自家消費・オンサイトPPA / 市場・制度 自己託送・特定供給 / 論点種別 市場設計

「現状」は経緯全体から書き直す上書き型、経緯は追記型。一次資料のみを根拠とし、二次情報は経緯に入れません。

▶自己託送の要件厳格化はどの案件から適用されるか決定
要するに2023年末までに接続検討(特高・高圧)か契約申込み(低圧)を済ませた案件は従前のルールのまま。申込み後に名義を変えた場合は新ルールが適用される。

問い2024年の自己託送の要件厳格化(自ら設置した設備への限定、需要場所内の融通先への密接な関係の要求)は、系統連系手続きのどの段階に達した案件から適用され、既存案件にはどのような経過措置が置かれたか

現状(2024-02-12 時点)
2023年12月26日の電力・ガス基本政策小委員会で、接続検討の申込み等には検討料等の費用が発生することを踏まえ、駆け込み案件の増加を避けるため、2023年12月末までに系統連系手続きに達していない案件を新要件の対象とする案(案A)が示され、2024年1月1日から改正指針の施行までは自己託送の接続供給契約の新規申込みの受付を停止するとされた。2024年2月12日適用の改正指針の附則で、2023年12月31日以前に接続の契約申込み(特別高圧・高圧は接続検討の申込み)を完了した案件は従前の例によるとされ、申込み完了後に自己託送利用者の名義を変更する場合は経過措置の対象外となった。
次の節目経過措置の対象案件の運用状況(改正指針の附則に基づく)。
経緯(会議ごとの記録・2 件)と分類
分類:テーマ 自己託送の制度設計(要件の見直し) / 電源・設備 自家消費・オンサイトPPAオフサイトPPA太陽光 / 市場・制度 自己託送・特定供給 / 論点種別 スケジュール参入要件

「現状」は経緯全体から書き直す上書き型、経緯は追記型。一次資料のみを根拠とし、二次情報は経緯に入れません。

▶自己託送を使える者と発電設備の要件はどう決まるか決定
要するに自己託送は、自ら設置した発電設備に限られ、他社が設置した設備の譲受け・リースは対象外(完全子会社からの譲受けのみ可)。運用委託や全量送電の扱いは今後の検討課題として残る。

問い自己託送(自社の発電設備の電気を送配電網で別の場所の自社拠点等に送る仕組み)を利用できる者は、発電設備の所有・設置の形態(自ら設置、他者からの譲渡・貸与、子会社からの譲渡)についてどのような要件を満たす必要があり、その要件はどこで見直されるか

現状(2024-02-12 時点)
2024年2月12日適用の自己託送に係る指針で、自己託送利用者は自ら設置した発電設備(非電気事業用電気工作物)を維持・運用する者に限られ、他者が設置した設備の譲渡・貸与を受けて維持・運用する者は該当しない(完全子会社が設置した設備の譲渡を受ける場合のみ例外)。利用者は自ら設置したことを宣誓書等で示し、虚偽の場合は契約解除に同意する。2023年12月26日の電力・ガス基本政策小委員会では、要件が外形的に明確な「発電設備の所有」と「電気の最終消費者」の2点で厳格化し、維持・管理の外部委託や全量送電(余剰電力に限るか)の要件化、再エネ賦課金の負担の在り方は、今後の活用状況を踏まえ排除せず検討するとされた。
次の節目自己託送の活用状況を踏まえた、維持・管理の外部委託や全量送電の扱い、再エネ賦課金の負担の在り方の検討(電力・ガス基本政策小委員会)。
経緯(会議ごとの記録・2 件)と分類
分類:テーマ 自己託送の制度設計(要件の見直し) / 電源・設備 自家消費・オンサイトPPAオフサイトPPA太陽光 / 市場・制度 自己託送・特定供給 / 論点種別 参入要件

「現状」は経緯全体から書き直す上書き型、経緯は追記型。一次資料のみを根拠とし、二次情報は経緯に入れません。

このテーマに関わる政策・制度レコード(6)

第78回 電力・ガス基本政策小委:部分供給の既存契約は2025年7月1日までに分割供給へ移行する案 第76回 電力・ガス基本政策小委:分割供給(1需要場所で2者の小売が供給)を導入し、部分供給は新規受付を停止する案 第74回 電力・ガス基本政策小委:1需要場所で2者以上の小売から供給を受ける場合のルールを速やかに検討する案 第72回 電力・ガス基本政策小委:部分供給は原則廃止の方針、通告型部分供給は新規受付を停止する案 自己託送に係る指針の改正(2024年2月12日適用):自ら設置した設備に限定、需要場所内の融通先にも密接な関係を要求 第68回 電力・ガス基本政策小委:自己託送の要件を厳格化、他者設置設備の譲渡・貸与と需要場所内の他者への融通を対象外とする案

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再エネアンテナを運営するマニエスグループ株式会社は、太陽光発電・系統用蓄電池を中心に、再生可能エネルギー事業の企画・開発、投資、資金調達、運営管理に取り組んでいます。自社での事業投資と、パートナー企業との共同事業を通じて培った知見を生かし、事業の構想段階から運転開始後まで支援しています。

172MW累計関与案件容量
52か所遊休地の共同開発
自社保有発電所・底地・蓄電池

主なご相談領域

土地・建物の有効活用をご検討の方遊休地・屋根・駐車場等を活用した発電事業について、事業性評価から開発・運営まで対応します。自社グループ内で電気を使う形の設計や、案件に応じた共同開発にも対応します。実績:鉄道グループの遊休地 52 か所を対象とした太陽光発電事業の共同開発
再エネ事業への投資をご検討の方投資対象案件の事業性・収益性・リスクを、系統・収益・入札の見通しから評価します。案件に応じて共同投資にも対応します。実績:自社で発電所・系統用蓄電池を保有・運営、発電所売買(M&A)支援 29.5MW
企業の再エネ電力調達をご検討の方オフサイトPPA・自己託送・証書の組み合わせを設計し、事業パートナーの選定から社内意思決定の支援、運転後の運営管理まで一貫して支援します。実績:鉄道グループのグループ内完結型オフサイトPPA 2 件を企画から運営管理まで包括支援、売電支援 19MW
発電事業の売却・再編をご検討の方発電所の売却、ファンドへの組み入れ、資金調達についてご相談を承ります。実績:発電所売買(M&A)の支援、ファンド機能

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